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わたしは高校を卒業後、美容学校に行くために実家を出ました。
それからは実家に戻っていませんから、
すでに人生の半分以上を成田で過ごしていることになります。

美容学校時代ゴールデンウィークや夏休みになるたびに、
帰省を楽しみにするクラスメイト達の心情を、
俺は複雑な思いで見ていました。

俺は実家に帰りたくなかったから…です。

しぶしぶ帰っても、故郷は何も変わらずにそこにありました。
ただ、家族が何か違っていました。

駅まで迎えに来てくれたおとうとは、
トンネルに入る前の料金所にいるおじさんに通行券をもらいながら
「どうもありがとう」と言いました。
昔は挨拶すら苦手なシャイなおとうとだったのに、
その言葉がとても自然だったこと。

夕方食で焼肉を食べに行ったら、
父がみんなの分の肉を焼き始めました。
「昔は、こんなことする人じゃなかったのに」と、
俺は眺めているのに、継母やおとうとは
あたり前のように受け入れていること。

父に対してグチを言わなかった継母が、
「一緒にでかけたりしてくれないから本当につまらないのよね」
と俺に笑いながら言った会話。

かつてなかったことが、あったのです。
ごく普通にあたり前のように…

両親の離婚、その後の父の再婚が受け入れられずに出た家ですが、
俺が出た後も長い年月を経て、
父・継母・おとうとは、
家族というものを形成し直して来たのでしょう。

家族である姿がそこにはありました。

「俺がいると、この家はうまくいかない」
18歳の俺はそう思いましたが、
「家族になること」を嫌い避けてきたのは、俺だったのです。

俺は故郷と共に自分の存在を消してきたのです。


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